【グレイス病院】村田先生の小児科通信　第3回「保育園と風邪」

こんにちは、グレイス病院小児科の村田です。
新年度を迎え、保育園・幼稚園に入園など、初めて集団生活に入るお子さんもいらっしゃると思います。毎年４・５月の小児科には入園してから「ずっと咳と鼻が続いています」「しょっちゅう熱を出すのですが大丈夫でしょうか」というご相談がたくさん寄せられます。
集団生活を始めると実際どれくらい風邪をひくのでしょう？また、どのような症状に気を付けたらよいでしょうか。今回はそちらについての記事です。

＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞

保育園に通い始めると風邪をたくさんもらう、という話を聞いたことがある・実感した、という方は多いと思います。
アメリカからの報告では、自宅で過ごしているお子さんでは１年に平均3-4回くらい風邪をひくのに対して集団生活をしているお子さんでは、1年間で平均6-7回ほど何らかの風邪をひくと報告されておりおよそ2倍のペースで風邪をひくようです。
日々診察している感触としてはもう少し頻繁に風邪をひくお子さんも珍しくない印象です。

咳や鼻水などの風邪症状のピークは5-7日目くらいとなることが多いですが、その後しっかり症状が消えるまでは鼻水は２週間、咳は３週間程度長引くこともあるとされています。そのため、保育園に通い始めで、連続して別の風邪をもらってしまうと１か月以上咳や鼻水がすっきりしない、ということが起こりえます。

ですから、元気があれば多少の風邪の症状が続いていても大きな心配は不要なことが多いのですが、
・２－３週以上咳が続く
・４－５日以上発熱が続く
・耳が痛い
といった場合は、気管支炎・肺炎や中耳炎などを合併していたり、喘息による咳が隠れていたりすることもあるので病院での診察をおすすめします。

また、
・３か月未満のお子さんの38度以上の発熱
・水分が取れない状態でぐったりしている
・肩で荒い息をしている、呼吸が早い、ゼーゼーした音が聞こえる、など普段と違う呼吸で苦しそうな様子がある
・けいれんをおこした
などの場合は速やかに受診をしたほうが良いでしょう。

集団生活を始めた直後はお子さんの体調不良で気をもむことも多いと思いますが、入園して半年から1年ほどして、ひとしきり風邪をもらい終わると風邪のペースも徐々に減ってくることが多いです。それまでは、治療が必要な状態を見逃さないように病院と相談をしながらうまく乗り切っていきましょう！

参考文献：大久保祐輔　そのエビデンス、妥当ですか？システマティック・レビューとメタ解析で読み解く小児のかぜの薬のエビデンス、金芳堂、2020