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【グレイス病院】村田先生の小児科通信:第6回「舌下免疫療法について」

グレイス病院 (2025.06.14)

こんにちは、グレイス病院小児科の村田です。

梅雨に入りジメジメとしたお天気が続いていていますが、
スギ花粉がつらかった方は花粉症から解放されてほっとされているかもしれません。
今日はスギ花粉症の「舌下免疫療法」についてお話ししようと思います。

これまでの治療はスギ花粉症を飲み薬や目薬・点鼻薬で「症状を抑える」治療がメインでした。
この「舌下免疫療法」は、症状を抑える治療ではなく、
「スギ花粉症の体質そのものを改善」しようという治療です。

お子さんが、
「お薬を使っていれば調子が良いけど、お薬が切れると症状がぶり返すから、
毎年春はお薬が手放せない・・・」
「花粉症になったけどこれ以上悪化させたくない!」
「毎年いろいろお薬を使っているけど春はどうしてもつらい!」

という状況で、なんとかしたい!という方におススメです。

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【スギ舌下免疫療法とは?】
花粉症の原因物質であるスギ花粉の成分を含んだ錠剤を舌の下に
毎日投与することで体を花粉に慣らし、アレルギー症状を軽減させる治療
です。

【舌下免疫療法の特徴、メリット・デメリットについて】
① 治療効果が出ればこれまでの治療薬(抗ヒスタミン薬や点鼻・点眼のお薬)を減らしたり、
使用しなくて済んだりします。

② およそ80%の患者さんにスギ花粉症の改善がみられます。
そのうち20%の患者さんは根治に近い改善が得られる一方、
20%ほど効果が表れない患者さんもいます。
平均すると自覚症状が4割程度軽減すると言われています。
治療効果には個人差があるので、治療してみないとどの程度効果が出るのかは
わからない
点はデメリットと言えるかもしれません。

③ スギ花粉症そのものを改善するため、治療終了後も長期にわたって
花粉症の改善が期待できます。
(最低5年以上は効果持続すると言われています)

④ 一方で、治療効果が出るまで時間(約半年~1年)がかかります。
また、しっかりと体を花粉に慣れるのに時間がかかるため、
治療が完了するまでには3~5年の治療継続が必要です。

⑤ 半分程度の患者さんで治療開始後1-2カ月は口の中や喉、
耳などにかゆみや違和感、腫れが生じることがありますが、徐々に改善します。

⑥ 非常に稀ですが、重篤な副反応として強いアレルギー反応である
アナフィラキシーを起こす可能性があります。

スギ花粉以外の花粉症への効果は基本的に無いので、
ヒノキや雑草などの花粉症は残ることが多いです。

【具体的な治療内容について】
・1日1回、舌下に錠剤を置いて、1分間飲み込まずに保持した後に飲み込みます。

治療対象年齢は5歳以上ですが、ご本人に毎日お薬を続ける意欲があること、
1分間錠剤を舌下に含んでから飲み込む、という動作ができる事が条件となります。

・アレルギー症状が落ち着いている状態で開始します。
スギ花粉の治療は花粉飛散がない6~11月の間に開始します。

・長期アレルギー検査を行っていない患者さんは現在の状態を確認するため
治療開始前に採血を行います。

舌下免疫療法にご興味がございましたら一度外来でご相談ください!
また、舌下免疫療法はスギ以外ではダニアレルギーでも実施できます。
1年を通してダニのアレルギー症状がある、という方もご相談ください。

(なお現在、スギ舌下免疫療法のお薬が品薄状態です。
希望される患者様が多数の場合は、治療を開始できない場合がございます。
今年の秋にはお薬が十分に出荷される予定なので、
もし、お薬がない場合でも秋以降には治療が開始できる予定です。)



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